特集Ⅰ 代表取締役社長 森輝彦 インタビュー

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経営理念

すべて

お客さまへのお役立ち―それがわたくし達の使命です

一、わたくし達は真心をもってお客さまの健康と清けつな生活に貢献します

一、わたくし達は志を同じくして、今日一日仕事ができる喜びを感謝します

一、わたくし達はお客さまに満足される商品やサービスの提供をつづけ、愛される企業づくりをめざします

一、わたくし達は自己を磨き、互いに信頼しあい協同することによって働く喜びをわかちあいます

一、わたくし達は社業の繁栄を通して社員の幸せを実現し、充実した人生を送ります

特集Ⅰ 特集Ⅰ社長

「お客様へのお役立ち」を使命(すべて)と考える
「小さくともキラリと光る企業」が描く未来像


 いつも「お客様へのお役立ち」を出発点に健康で清潔な暮らしを見つめ、世紀を超えてその担い手となってきた丹平製薬。「医薬品」と「トイレタリー」、二つの事業を通して、お客様や社会に向けて会社と社員がともにたしかな存在価値を発揮し続けていくためにどんな未来像を見据えて、さらに一歩前へと踏み出していくのか。 120年の歩みを重ねてきた「いま」の姿と、その先に描く「これから」の展望をトップメッセージとして、森輝彦代表取締役社長に語ってもらった。

■ 「存続と発展」の証しとなる120年

OB・OGやお客様、先人への「感謝」から未来に向けて歩みを進める


― 明治期の創業から、世紀を越えて120周年を迎えました。


森輝彦社長 創業者・森平兵衛に始まって、亡くなられた諸先輩やOB・OGの方々には、ただただ感謝の想いでいっぱいです。本当に、その言葉しかないですね。

 一つには医薬品とトイレタリー、どちらの事業もしかるべき商品を誕生させ、育成してこられた「製品力」への感謝です。二つ目は、いろんな人が集まってそれぞれに力量を発揮して成長を遂げていくことができた、わが社を構成する「人材力」への感謝です。そして三つ目は、いつもたしかな収益を上げてきたことへの感謝です。売上と利益の「収益力」なくして、企業は成り立ちませんから。

 この三つの力は、時代ごとに定量、定性の両面でたしかな足跡を刻んできました。まずはその功績に対して感謝して、さらに次へと進んでいく、ということです。


― 先人が築いたものをしっかりと受け継ぎ、これからも積み重ねていく、と。


森 もう一つ、お客様への感謝も忘れてはなりません。経営理念「お客さまへのお役立ち」に示すように、お客様とは単にコンシューマーだけでなく、取引先である得意先や仕入先、銀行、社員食堂の給食業者など、わが社を取り巻くすべての存在です。それは、私たちがたしかなベネフィットをご提供してきた方々であり、同時にわが社を育ててくれた方々でもあります。互いの好循環の証しが、120年の歴史だと言えるのではないでしょうか。

 社長に就任してから45年になりますが、私がずっと言い続けている言葉があります。それは「存続と発展」です。会社はまず何よりも、続いていかないとだめなんですよ。そのうえで、適度な発展を繰り返していく。その大前提を基軸に、未来に向かって歩んでいかなければならない、と思っています。

 丹平製薬は、ただ120年間続いてきたのではなく、適度な発展を繰り返してきました。改めて、そのことに対する感謝の想いは尽きませんし、それはこれからも私たちが目指していく道だということです。



社長インタビュー_02

わが社は 
“お客様へのお役立ち”を 
果たすために存在するのです。

「使命感」と「実行力」があるたくましい個と集団がプラスαを生み出す


― 先人から受け継いだ三つの力に加えて、これからを担う社員の方々に必要なことはありますか。


森 あえて付け加えるとすれば、「実行力」ですね。どんなに立派な理屈を並べ立てても、実行しないと意味がありません。すべての部門の社員が、実行力に富んだ会社になっていかないと。今は、ちょっとおとなしい集団なんですよ。120年の歴史と伝統に甘んじているところがあります。

 これまでの延長線上にある仕事はちゃんとできていますが、そこにプラスαを生み出すことが必要です。「これから新しい歴史と伝統をつくり上げていくんだ」という気概を社員一人ひとりが持って、実行力を高めていかなければならないと思います。


― 全社会議など、機会あるごとに「たくましい行動力を発揮できる集団になっていこう!」と、語りかけているそうですね。


森 「たくましさ」とは、単に「仕事をそつなくやる」「目標を達成する」ということではなく、「使命を果たす」「気概を持って取り組む」ということです。社員一人ひとりも、会社集団としても、より一層の努力をして、たくましくなっていく。120周年の記念式典に合わせて実施した全社会議でも、そう発信しました。


■ 次代へ向けて必要な「変化」と「備え」

細分化していくニーズに対応し組織も人も「変化する」ことが大事


― たくましさを身につけた丹平製薬はこれから、どんな時代を迎えていくとお考えですか。


森 一つ言えるのは、コンシューマーのニーズはもっと細分化していくと思います。時代の動きにどう対応していくか、その答えは非常に難しいですが、どの会社もできるだけ、より小さな括り(組織・部門の単位)で、細やかなニーズを集約した製品やサービスを創り出していくことになるでしょう。これまで以上に、大括りのマス対応は通用しなくなりますからね。

 そのために考えなければならないのは、自社体制のあり方です。たとえばマーケティング部門は、30年前と今ではその必要性も大きく違っています。そうやって、時代に呼応して「変えていく」ことが大事で、その姿に人材をあてはめていく。人がいるから組織をつくるのではなく、必要な組織をつくり、そこに人材を供給する、ということです。


― 時代の動きやコンシューマーのニーズの変化に応える組織になり、そこで力を発揮していく人材になっていく、と。


森 実はそのステップを120年間、わが社は時代ごとに実践してきました。かつて、少品種大量生産から多品種少量生産へと、ある時期に大きく変わりましたよね。これからも同じような変化が絶えず起きていくなかで、新しい価値を持った商品を軸として、そこからバリエーションある関連商品も展開していくことになります。

 ニーズがあるからと言って何にでも手を出すのではなく、技術や販売のシナジー性を活かした商品開発に絞り込む。いま、MIP商品による新カテゴリーの開発がたしかなブランド力を生み出していますし、それは医薬品もトイレタリーも、どちらにも共通することです。


新たな価値づくりへ、「その時」に備える医薬品とオーラルケア・スキンケアが有望なトイレタリー


― 医薬品とトイレタリー、それぞれの「新たな価値づくり」への期待はいかがでしょう。


森 医薬品は何と言っても「よく効いて、安全」、つまり有効性と安全性の二つの価値が重要です。ただ、今の厚生労働省の基準では臨床や薬理など、新たな価値(有用性)を裏付ける膨大な研究データが必要で、大衆薬メーカーはどこも大きな壁に直面しています。

 同じような有用性の風邪薬や便秘薬を新たに開発しても仕方がないですし、そこからどう脱け出すのか。行政の制度改革がないと、1社だけの努力では難しいですね。ただ、変化が起きる「その時」への備えだけは、怠らずにちゃんとしておく必要があります。

 トイレタリーは、時代にふさわしい輝きを放つチャンスがもっとある、と楽しみにしています。わが社が展開していくドメインの一つは、口腔関連のオーラルケア商品ですね。これは医薬品「今治水」以来の強みあるカテゴリーですが、近年では「こどもハミガキ上手」や「ハミケア」などのオーラルケア関係が順調です。また、「アトピタ」ブランドを中心とする皮膚関連のスキンケア商品も、引き続きチャレンジしていく領域です。


―「 清潔と健康」を見守ってきた延長線上で、新たなチャレンジをしていく、と。


森 表現を変えるなら、これからもその土俵の上に立ち続けていく、ということです。もちろん、違う土俵に立たない、ということではありません。「お客様へのお役立ち」ができるなら、何でもチャレンジしてみたい。ただ、限られた経営資源を分散せずに集中化を図ろうと考えた時、まったく違う土俵に立つことは、よほど商品群のカテゴリー展開ができる見通しがない限り、難しいでしょう。それよりも高い優先順位で、選択と集中でやるべき領域がある、ということです。


自社開発の「X商品」+ 自社にない「取次商品」で海外市場にも視野を広げていきたい


―もっと先にある未来像、たとえば150周年に向けての展望はどのように描いていますか。


森 さすがに今「○○のカテゴリーが有望だ」とは言えませんね。ただ、逆に今から30年前、90周年の時に戻って考えてみると、まだ「アトピタ」はなかったんですよ。だから恐らく「アトピタ」のように時代にふさわしい輝きを放つ“X”商品が、30年後に誕生しているでしょう。いや、できてないといかんでしょうね。それが何なのか、弛みなく探し続けていかねばなりません。

 ただ、そう簡単に新しい土俵は見つかりません。わが社にない商品群を、取次商品で補うのも一つの選択肢です。20年前にも、アメリカ・コーム社の義歯接着剤「シーボンド」を手がけましたが、国内・海外を問わず他社メーカーの開発商品をわが社の新商品として導入し、市場も国内外を問わず販売する。あくまでも基軸は自社開発商品の市場導入ですが、もっと広い土俵で、より多くのお客様にベネフィットを提供するためには、そういうことも必要になっていくでしょうね。


― 役立ちを提供するお客様は、海外市場にも視野が広がっていくわけですね。


森 今も台湾と香港を中心に輸出実績がありますし、戦前はわが社もかなり高い輸出比率で、世界へと市場が広がっていました。今後、経済成長や人口増、生活レベルの向上でアジア市場は拡大を遂げていきますし、そのチャンスを見据えて備えを万全にしておく、ということです。

 備えとは、国内外を問わず高いアンテナを張り興味を深め、感性に磨きをかけて、探し出した情報をしっかりと見極めていくことです。それはトップが自ら率先して実行していくことですが、社員の皆さんもまた、それぞれに任された現場でスペシャリティーを磨いて、感度を高めていってほしいと思います。

社長インタビュー_03

“お客様へのお役立ちができるなら 
何でもチャレンジしてみたい。

■ 歴史と伝統の「記憶」を「記録」するだけでなくそこから学んで、いまとこれからに「活かす」

スローガンもロゴマークも一新しコーポレートカラーは伝統が息づく「紺」に


― 次代へのスタートラインと位置づける120周年を機に、コーポレートスローガンやロゴマークも新しくなりましたね。


森 “「お客様へのお役立ち」を使命(すべて)と考える”。経営理念を反映したこの新スローガンは、何のためにわが社が存在し、何のために社員一人ひとりが仕事をするのか、その目的を集約したものになったと思っています。いつの時代にも、原点である経営理念に立ち返ることが、新たな一歩を踏み出す出発点になる、ということです。

 また、創業以来の「○に丹平」マークは、わが社のアイデンティティと言えるものですが、それを受け継ぐだけでなく進化させて、次代に向けて進んでいこう、と。新ロゴマークは、枠にとらわれない夢のある新製品を開発し、お客様の健康と清潔に貢献してともに成長し続けて、大きな円に広がっていく志を表したデザインです。社名も読みやすく親しみやすいように、漢字から「タンペイ」とカタカナ表記に変えています。

 コーポレートカラーも、落ち着いた品格のある紺色に統一しました。「健のう丸」の幟や社旗に使われるなど、昔からわが社にゆかりある、伝統が息づく色です。清潔で爽やかな印象も、わが社の企業イメージに合っています。改めて歴史と伝統の上に立っていくという決意を示す意味でも、ふさわしい色を選ぶことができました。

― 歴史保存事業として、本社1階の玄関に創業以来の商品群をパネル展示する計画もあると、お聴きしました。


森 120年の歴史や伝統、その記憶をしっかりと目に見える記録に残していこう、と。もう一つの狙いは、ただ記録があるだけでなく、そこから学んでいまとこれからに活かすことです。特に、次代へと一歩を踏み出していく意味を考えれば、後者が大事です。それは120年の歴史がある企業にしかできないことですから。

 学びと活かしにつなげるために、森宏之専務をリーダーに120周年記念事業の社内プロジェクトを立ち上げ、「夢、アイデンティティ、チームワーク」をキーワードに議論を重ねてきました。プロジェクトの一環として、全社員を対象に「目指したい会社」についてアンケート調査を実施し、一人ひとりの声を集めて導き出されたのが、「120年の歴史を持つ製薬会社で働く誇りを持ち、お客様の要望に応える夢のある革新的な新商品(医薬品・トイレタリー)を提供し、社員のチームワークを活かして成長・進化する企業」、との未来像です。

 実は、新たなコーポレートスローガンやロゴマーク、コーポレートカラーはすべて、この未来像に基づいて定めています。そして、わが社が目指す方向性について全社員が意識を共有し、歴史と伝統を受け継ぐ丹平製薬に、新時代の幕開けを告げるシンボルとなっていくものなのです。


「変わらない」信頼の上に大いに自社のありようを「変えていく」


― 先人の足跡を振り返り、次代へと歩みを進める号砲にもなる120周年の節目を迎えて、改めて「丹平製薬らしさ」のこれからについて教えてください。


森 歴史と伝統に根ざした信頼や信用といったつながり、そうしたものは捨ててはならないし、これからも変わらないようにしていくことが大事です。

 一方で、時代や社会、お客様の変化に対応するために変わっていかなければなりません。むしろ「変わる」ことの方が、よりウエイトは大きいですね。


― 「存続と発展」は不変の歩みですが、どの道を進むかは絶えず変えていけばいい、と。


森 時代に合わせて変わっていくところと、自ら変えていくところ。二つの「変える」が必要です。そしてまさに今、何をどう変えるのか、進むべき方向性を突き止め、自らの手で新たな道を創り出していこうとしています。

 これからの丹平製薬のありようというものは、大いに変えていきましょう、と。いつの時代も、そうあってこそ「丹平製薬らしい」と言えるのではないでしょうか。




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